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日本遺産_森林鉄道

日本遺産_森林鉄道

『生きている木』        ー古写真における可視性と付加価値についてー

中芸のゆずと森林鉄道日本遺産協議会所蔵の写真コレクションの中から、今回【expo2021】森林鉄道写真展として企画するにあたり、写真としての美しさ、視覚言語、また『人間の在る風景』を主旨として、労働、人、暮らしという文化の側面に添い写真を編んだ。

 その写真内容が表すものとして、当時の焼き付け技術と再現性。風土、土地性、という風俗の体系に帰すること。集落・通り、生活様式のなかでの人の感受性、活気、豊かさ、自負。労働に於ける過程の記録等が挙げられる。  さらに、約100年という沈黙の時間の経過が導き出すもの。それは、写真の特性として、時間が新たな意味を持たせるということがある。現代社会との比較のなかで、同時代では観察に十分でない事象が、鮮鋭に浮かび上がってくる。「無名な撮影者の記録は、何を残しているのか。」

ー人間が生きてるということー写真とは、目を閉じて静かに浮かび上がってくる光景である。

生きている木を扱う人間、そのまなざしのなかの光・生きている人間の姿勢
に付与を学ぶのである。
一情報と一人間の価値が同価値になりつつある今、資料としての写真に向き
合うことの大切さを感じている。それは、人間が歩んできた軌跡のなかに本質的な生き方、不可視的な原点を見出す可能性をも大いに含んでいる。

写真展企画制作 深田 名江